「キャリアに悩んだら、まずはコーチングを受けてみよう」。
そんな声を聞くことが増えました。
実際、私たちのもとにも「自分らしく働きたい」「今のままでいいのか不安」という声が日々届きます。
現代は、誰もが自由にキャリアを描ける時代です。
しかしその自由さゆえに、選べない・決められないという“逆説的な不自由さ”に直面している人が多いのもまた事実です。
そこで注目されるのが「キャリアコーチング」ですが、
本当に“自己理解”だけで、望むキャリアは実現するのでしょうか?
たしかに、キャリアコーチングの第一歩は自己理解にあります。
価値観や強みを棚卸し、自分の“軸”を見つけることは、迷いや不安を言語化する上でとても大切です。
しかし、キャリア形成の本質はその先にあります。
「見つけた自分」を、どう実生活に落とし込んでいくか。
つまり、自己理解から行動、行動から実現、そしてその後も継続して進化できるか。
この“実装のプロセス”までを一貫して支えることが大事だと思うのです。
厚生労働省の最新統計(令和5年「雇用動向調査」)によれば、2023年の入職者は約850万人、離職者は約798万人。
離職率は15.4%にのぼり、日本では毎年およそ7人に1人が職場を変えている計算になります。
これほどの流動性が常態化している今、キャリアとはもはや「一度きりの正解を当てる」ようなものではありません。
むしろ、小さな仮説を立てて行動し、実践の中で修正しながら育てていくものだと捉えるべきです。
動きながら調整していく柔軟な姿勢があるからこそ、環境の変化にも適応でき、キャリアを自分らしく育て続けることが可能になります。
大切なのは、頭の中で完結させるのではなく、実際の仕事や職場、人間関係のなかで検証し続けること。
そうして試行錯誤を続ける「動き続ける力」こそが、キャリアの満足度と成長の分かれ道を決めていくのです。
キャリアは、やはり分かれ道の連続です。
道を選び、進んでは立ち止まり、また迷い、時に引き返すこともある。
そんな不確実な旅路を、すべて一人で判断し続けるのは、容易なことではありません。
動きながら検証していく──この大前提があるからこそ、
ときに相談し、ときに背中を押してくれて、必要な場面では具体的な手段も示してくれる存在の重要性が高まっています。
キャリアという長いドライブを、常に自分ひとりで運転し続けなくてもいい。
ときにはナビゲーターのような誰かに助けを求め、視界をひらき、選択肢を整理し、
次のハンドルを握る前に、深呼吸をしてもいいのです。
人生の中で、自分の働き方や役割を見直す局面に立ったとき。
信頼できる相談相手がそばにいることは、
自分の意思を貫くためにも、挑戦を継続するためにも、かけがえのない支えになるでしょう。
キャリアは「決めること」ではなく、「つくり続けること」。
正解のない問いを抱えながら、試行錯誤を続けること自体が、
すでにあなたのキャリアを育てているのかもしれません。
いまのあなたには、“伴走してくれる存在”がいますか?
迷ったとき、問い直す場を持てていますか?
一人で進むことも、誰かに支えられて進むことも、どちらもあなたの選択です。
そのうえで、次のステージへ向かうあなたにとって、本当に必要な“関係性”とは何でしょうか。