「こんなに頑張っているのに、結果が出ない」。
そんな焦りに胸を締めつけられた経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。
私自身、20代から30代にかけて、営業やマーケティングの仕事に携わっていた頃、常に「結果」に意識を向けていました。
成果、数値、評価。目に見える結果こそが、自分の価値を証明してくれるものだと信じていたように思います。
けれど、時を経て思うのは
あの頃の成功や失敗そのものよりも、「そのプロセスに、どれだけ力を尽くしたか」が、自分のキャリアを形づくってきたという事実です。
結果が出なかったとき、人はよく「自分には力が足りなかったのでは」と悔やみ、時に自信を失います。
でも、力が足りないと悔やむよりも、「その時の自分にできるベストを尽くしたか」が、もっとも大切なのではないでしょうか。
というよりも、力が足りなくて当然なんですよね。だって、知識も経験も圧倒的に足りないわけなので。
ただ、今の自分の100%を出しきること。
それができていれば、たとえ目に見える成果が出なかったとしても、次に進む力が必ず残ります。
むしろ、そのプロセスこそが、明日の自分を育てる“栄養”になります。これは間違いないと確信しています。
最近よく聞くのが「コスパ」や「リターン」という言葉です。
限られた時間やリソースを有効活用する感覚は、現代的で合理的です。
ただ、すべてを目先の得失だけで測ってしまうと、自分の軸がぶれてしまうこともあります。
「この仕事、今の自分をちゃんと使い切れているか?」
たとえ報酬や評価に直結しなくても、目の前の仕事に全力で向き合い、何かをつかもうとしている姿勢こそが、長期的に見たときに“キャリアの伸びしろ”になります。
コスパでは測れない価値を、私は大切にしていたいと思うのです。
自分が追いかけている目標が、自分の意志から生まれたものなのか、それとも外部から与えられたものなのか。この違いは、キャリアの充実度に大きく影響します。
前者であれば、結果がどうであれ、納得感をもって受け止めることができます。
しかし、後者の場合は「怒られる」「期待を裏切った」といった他者軸の感情に引きずられやすい。
目標が“自分ごと”になっているかどうか。
この視点を持つことで、結果の意味づけも変わり、キャリアが「自分の物語」として手に戻ってくる感覚を持てるはずです。
焦りやプレッシャーは、まじめに向き合っている証でもあります。
でも、その感情に押しつぶされてしまっては、次の一歩が踏み出せません。
結果を追うだけでなく、「自分を尽くしたかどうか」を問い続けること。
そして、「これは得かどうか?」ではなく、「自分の糧になるか?」という問いをもって仕事と向き合うこと。
その積み重ねが、誰かの評価ではなく、自分の納得に支えられたキャリアをつくっていく。
そんな働き方が、これからの時代にこそ必要なのではないでしょうか。